こんにちは。東小橋薬局です。
そろそろ汗ばむ季節となってきましたね。今月のテーマは、これからの季節に多く見られる痛風発作についてです。
痛風などの原因となる血中の尿酸は、発汗などの体内水分が奪われることで濃度が上昇します。
そのため、暑さが増す夏は尿酸値が上がりやすい季節と言われます。

尿酸は細胞内の核などに含まれるプリン体が分解される際に生じ、その尿酸が尿中に排泄されず、血中濃度が高まることで高尿酸血症になります。
高尿酸血症を治療せず放置していると、尿酸が結晶となり足の親指の関節などに蓄積され、激痛を伴う痛風発作を引き起こします。
元来痛風は中高年に多い病気と思われがちですが、近年では、40歳代以下の若い世代の発症が多い傾向にあります。

痛風の患者数は80万人を超え、高尿酸血症患者はその約10倍存在すると考えられます。
この背景にあるのは、飽食環境下での「過食、過飲」や「食生活の欧米化」、「運動不足」といった不健康な生活習慣が関係しています。
そして、痛風は脂質異常、高血圧といった生活習慣病に関連の深い病気です。
痛風や前段階である高尿酸血症を放置していると、多くの生活習慣病を併発しやすいことが知られています。

痛風(高尿酸血症)を予防するための7ヶ条

肥満は危険因子  ダイエットが必要

糖尿病や脂質異常症と高尿酸血症の患者では、共に肥満やメタボリックシンドロームの人が多くみられます。
そして、肥満と2型糖尿病を併せ持つ人が減量すると血糖値が下がることがよくありますが、同様に太り気味で尿酸値が高い人が減量すると、尿酸値は低下する傾向にあります。
まずは、尿酸値や血糖値が高めで肥満がある場合は、減量が治療の基本となります。

水を飲んで尿をしっかり出す

高尿酸血症は大きく3つのタイプに分けられます。
尿酸が尿中に排泄されにくくなる「排泄低下型」と、尿酸の生産が増えすぎる「産生過剰型」、そして2つのタイプの「混合型」です。
そして、全体の80~90%は「排泄低下型」が関わっています。
尿酸排泄低下の予防としては、水分を多くとり尿量を増やすことが大切となります。
尿とともに尿酸が排泄されやすくなるため、腎機能が低下している人でない限り、十分な量の水を毎日とり、尿をしっかり出すことが推奨されます。
尿量の目安は1日2リットル以上。
高カロリーの清涼飲料水は肥満の原因になるので、水かお茶の摂取が勧められます。

食事でプリン体をとりすぎない。

高尿酸血症や痛風の患者の多くは、食事からとるエネルギー量が多い傾向にあります。
そのため、毎日の食事量や内容の見直し、腹八分目を心がけることが必要です。
動物の内臓(レバーなど)や魚の干物などにはプリン体が多く含まれています。
これらのプリン体が分解されると尿酸が作られるため、プリン体を多く含む食品を大量に摂取したり、高頻繁に食べ過ぎないよう心掛けることも大切です。

尿をアルカリ化する食品(野菜、海藻)をとる

高尿酸血症に酸性尿が加わることで尿酸結晶が析出し、痛風発作を引き起こしやすくなります。
一方、尿酸はアルカリ性の水分によく溶けるため、野菜・海藻類などのアルカリ性食品を十分に摂取することで尿をアルカリ性に保ち、血中の尿酸を低く抑えられます。
さらに、新鮮な野菜の摂取は水分補給にも役立つといえます。

アルコールを飲みすぎない

プリン体は食事以外にも、肥満やアルコールによって体の中で作られます。
まず、アルコールが肝臓で分解される時に大量にエネルギーが使われ、プリン体が多くなります。
また、アルコールは腎臓からの尿酸の排出を妨げる作用があります。
お酒の種類に関係なく、アルコール自体が尿酸を増やし尿酸の排出も妨げてしまうため、大量のアルコールを飲んだ場合は特に注意が必要となります。

有酸素運動が効果的

適度な運動は、高尿酸結晶の改善に役立つだけでなく、肥満の解消にも繋がります。
ただし、酸素の供給が不足するような筋力トレーニングを行うと、エネルギーを作るTCAサイクルが作動しにくくなり、尿酸値にも悪影響を与えます。
そのため、ウォーキングなど酸素を十分に取り入れながら体を動かす有酸素運動が推奨されます。

ストレスと上手に付き合う

過度のストレスは尿酸値を上昇させます。
生活習慣病の患者は、負けず嫌いで責任感が強く、精力的に行動するタイプが多く、つい頑張りすぎて過剰なストレスを受けがちな傾向にあります。
このような気性の方の場合、過剰なストレスにより尿酸値をより高めている可能性があります。
ストレス社会では心も体も適度な休養を取ることが大切です。
自分なりのリラックス法を見つけ心身の緊張を解きほぐすようにしましょう。