こんにちは。東小橋薬局です。
コロナ禍でマスク生活を余儀なくされていますが、それによって体温調節を妨げられ、熱中症を引き起こしてしまう可能性が推察されます。
7月は、熱中症をテーマに理解し、予防し、対応できるようにしていきましょう。
熱中症とは
人は、36~37℃の範囲で体温を調節している恒温動物ですが、この体温が体内の生体機能を高める最適の条件だと考えられています。
この36~37℃の体温を維持するために、私たちの体内では運動や食事などによって熱が常に作られています。
それと同時に、異常な体温の上昇を抑えるための、効率的な調節機構も備わっています。
例えば、暑いときには、自律神経の働きにより、血管を広げて皮膚に多くの血液を集め、外気に体内の熱を逃す「熱伝導」によって体温を下げることが出来ます。
また、汗をかいて蒸発させる「汗の蒸発」によって、体温の上昇を防いでいます。
しかし、発汗によって体から水分や塩分(ナトリウムなど)が失われてしまいます。
この状態に対して、私たちの体が適切に対処できなければ、筋肉のこむらがえりや失神(脳貧血)を起こしてしまいます。
また、気温が高いと体内の熱は外気に放散されにくく、湿度が高いと汗は蒸発できません。
すると、体温の調節機能が低下し、体内に熱がこもってしまいます。
このようにして体温が著しく上昇すると、頭痛や吐き気などの症状が起きてしまい、重症の場合、意識がなくなったり、けいれんを起こしてしまう場合もあります。この状態が熱中症です。
体から失われる水分を補給しよう
気温が高くなる夏場は、たくさんの汗をかきます。
ヒトは体重の60%が水分(体液)からできていますので、すこしくらい汗をかいても大丈夫だと思いがちです。
しかし、体重のたった3%程度の水分が失われるだけで、ヒトの運動能力や体温調節機能は失われてしまいます。
さらに、5~8%の水分が失われると疲労感やめまいを感じ、10%も失ってしまうと肉体的にも精神的にもダメージが生じてしまいます。
3%の水分というのは、例えば体重が70kgの人では2リットルほどの水分になります。
私たちは、汗をかいたと感じていなくても、1日に1リットルの水分を失っています。
真夏の暑い日や激しいスポーツをしたときに失う水分は3リットルにもなるといわれていますので、夏場には2リットルの水分も、あっというまに失われてしまうのです。これを防ぐためにはこまめな水分補給が大切です。
水分補給の注意点
夏場や運動中の水分補給にスポーツドリンクを選択する人は多いと思います。
しかし、スポーツドリンクには経口補水液と比べて、電解質が少なく糖質が多いため、保水効果及び保水速度が十分ではありません。
大量の水を飲み続けると細胞外液が希釈され、低Na血症の症状が出現しますが、スポーツドリンクも同様に大量に飲み続ければ低Na血症を発症します。
熱中症、脱水症の治療では体液補正を行う補水療法により、細胞外液を補充します。経口摂取が可能であれば経口補水液(ORS)市販のOS-1で体液の是正を行います。
手作りORSのレシピ
- 水 1000ml
- 砂糖 20~40g(ブドウ糖10~20g)
- 塩 3g
- レモン1/2個分またはグレープフルーツ1/2個分の果汁
経口補水法のコツ
- ORSは一気に飲ませるのではなく、ゆっくり少しづつ摂取させる。
- ORSの濃度を変えない。凍らせない。他の物(氷や砂糖)を混ぜない。
- 症状が改善しなければ、輸液療法への切り替えを躊躇しない。
- 無理に飲ませない。飲める人に飲んでもらう。
- 健康な人には美味しくなく、おいしいと感じる人は脱水症状の可能性が高い。